Photographed by Kinzoh in Osaka



河辺、肱川
平成27年8月10日
KAWABE, HIJIKAWA

AUGUST.10.2015




愛媛と高知の県境に横たわる四国山脈。
その雪解け水は清流となって河辺村を流れる。
河辺村は四国山脈を越えた愛媛側にあり、
清水を利用してアメノウオ、ニジマスなどの養殖業者もある。
養殖業者であっても、遠来からの来訪者には食事を提供してくれる。
秘境の旅の始まりである。



 
旧称肱川町にある歌麿館。浮世絵館である。
 

江戸時代の浮世店(再現)
 

浮世絵は世界的に有名な美術になっている。
日本人がピカソやルノワールを知っているように欧米人も歌麿や北斎を 同様に知っている。
 

 

分かっているだけでも、ヨーロッパの美術館に86,900枚、
米国の美術館に86,200枚収蔵されている。 参考1 参考2
 

ところで、肱川町でなぜ歌麿館なのか。
実は歌麿の版木は世界中に4枚しかないのだが、そのうちの2枚がこの歌麿館にある。
今から37、8年ほど前、肱川町の郷土館に行ったことがある。
郷土館の土間の上には数枚の浮世絵の版木が荒縄で縛られて埃をかぶっていた。
荒縄には白い荷札が付けてあり、「歌麿?」とマジック書きしてあった。
これは何であるか館長に尋ねると、
「持って来た(寄贈した)人が言うには、歌麿だというんです。
なんでも、その方の親戚筋が神戸の人にお金を貸していて、
そのお礼にこの版木を持ってきたというんです」と。
昨今の「なんでも鑑定団」では、よくあるストーリーで、
借金の形に持ってきたもので値打ちがあったものは見たことがない。
まずはガラクタであるが、当時、実物を見た時には金蔵も半信半疑だったが、
埃にまみれて荒縄で縛られた版木は何十年も心に残っていた。
それから、20数年の歳月が流れた。
バントック教授ご夫妻が肱川町に住むようになった。
バントック教授というのは、麗澤大学(東京)で英語を教えていた先生で、
奥様(日本人)は同じく麗澤大学の図書館に勤めていた職員だった。
ご夫妻はバントック教授が定年退職したのを機に肱川町でロングステイを始めたのです。
その奥様も、金蔵が何十年も前に訪ねた郷土館に行ったらしい。
そこでやはり同じような光景を目にしたらしい。
奥様は図書館員でかつての勤め先の麗澤大学図書館で浮世絵展を開催したことがあり、
版木というものも見たことがあったらしい。
彼女は一目見て本物だと思ったらしいが、
いつまでも曖昧に「?」をつけたまま無造作に展示するのはいかがなものかと苦言を呈したらしい。
彼女のもっともな意見に肱川町が浮世絵の最高機関に鑑定を頼んだら
間違いなく本物と判定された。1999年のことである。
その後、現代最高の彫師、摺師、浮世絵専門家が集まってこれらの版木をもとに2005年に復刻した。
当時は「平成の時代に蘇った歌麿」として全国ニュースになった。
写真は、平成の時代に蘇った歌麿の「狐釣之図」 
 

「狐釣之図」は、狐釣之図左絵、狐釣之図中絵、狐釣之図右絵の3枚一組である。
肱川町で発見された2枚の版木は、狐釣之図左絵と狐釣之図右絵のものである。
狐釣之図中絵の版木こそないが、
奇跡的にも摺られた絵が世界中で1枚だけボストン美術館に保存されていた。
「狐釣之図」の復刻には、この中絵が大いに参考にされた。
中絵の色彩をもとにして、左絵と右絵の色彩を推理したのである。
もちろんそれだけではなく、版木の表面の染み付いた色彩も科学的に調査された。
これらの推理や調査で3枚一組の復刻版が完成を見たのである。
 

「狐釣之図」 (金蔵邸玄関壁)
 
 
御幸橋
旧河辺村には屋根付き橋が7本残っていた。
かつて、「マジソン郡の橋」という小説や映画が大ヒットしたときには、
マジソン郡にも屋根付き橋が7本あったので、
旧河辺村は日本のマジソン郡ともてはやされたこともある。 
 

それはさておき、
この橋を坂本龍馬が駆け抜けたことがある。坂本龍馬脱藩である。
警戒手薄な四国山脈を越えるほうが成功率が高いと読んだようだ。
四国山脈麓の愛媛県側の最初の村落が河辺村である。
 

橋のそばの天神社の鳥居。アオネカズラが鳥居の隙間に根を伸ばしている。
 

竜馬脱藩の道
 

竜馬脱藩の道
 

竜馬脱藩の道
 

 

 

坂本龍馬脱藩の像
 

地元のお祭り広場。運動会、コンサート、カラオケ大会、盆踊りなどに使われる。
 

 

 

あまごの里
 

養殖場
 

まるで茶の間のようなところで食べる。
 

 

キュウリもキャベツもトマトもすべてここで実ったもの。漬物も自家製
 

新鮮で格安!
 

小藪温泉(鹿野川町)
 

松本清張TVドラマ「張り込み」のロケ地になったことがある。
 

大竹しのぶ。左はこの温泉の女将。
 

主演の田原俊彦と女将
 

 

週刊ポスト「日本の秘湯」シリーズで取り上げられたことがある。
また、「裸の金蔵」のロケ地でもある。
 







 
 
 


 

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